「芽かき」を終えたデラウエアは、房の成長が進み、長さが約4センチまで大きくなっています。
この時期には1回目の「ジベレリン処理」をします。それまでには、「摘果」を行っておきます。
「摘果」(てきか)とは、房の数を減らすことで、残った房に栄養がたくさん届くようにすることです。その結果、房が大きく成長します。
そして、もうひとつ作業があります。
それは「肩」と呼ばれる部分を取り去ることです。この作業を行っておけば、「ジベレリン処理」がスムーズに進み、後の作業も楽になります。
では、「ジベレリン処理」をどのように行うのでしょうか。説明していきます。
「ジベレリン処理」とは?
ぶどうの種をなくすための作業で、「ジベレリン」という薬剤に浸すことにより、種無しぶどうが食べられる訳です。
水に溶かした「ジベレリン」は透明な液体で、どの房を浸したのかが、わからなくなってしまいます。そこで、「赤い染色剤」を入れて、色をつけるのです。
この赤い染色剤は、朝露がついたり雨が降れば、自然に取れます。
この「ジベレリン処理」はデラウエアに限らず、シャインマスカットなどの大粒のぶどうでも同様の作業をします。
「ジベレリン処理」前の作業
写真で赤い丸をつけた箇所を「肩」と呼び、房の形を悪くしてしまうので、必要がありません。
そして「肩」があると、余分な「ジベレリン」を使ってしまいます。なので、「ジベレリン処理」をする前に、取り去りことが理想です。
手間はかかりますが、一連の作業のひとつになります。
「ジベレリン処理」作業をする
まずは、2リットルのペットボトルに水をいれます。
その水の中に、粉末の「ジベレリン」を入れます。それと、もうひとつの薬剤「ビーエー剤」を入れます。
そこに、「赤い染色剤」を入れて、しっかりと混ぜます。
出来上がった液体を、「ジベレリンカップ」という容器に入れて、一房ずつ浸していきます。
この「ジベレリン処理」をするには、なるべく気温が低く、湿度がある時間帯に行います。なので、作業を行う時は、朝6時前くらいから始めます。
理由は、「ジベレリン」を房に浸透させるためです。
湿度が低かったり、強い日差しの時は、「ジベレリン」がすぐに乾いてしまいます。それと雨が降る日には、「ジベレリン」が流れてしまうので、作業ができません。
この場合は、もう一度作業を行う必要がでてきます。
当園では、デラウエアの房が最も多いので、時間がかかります。晴れて暑くなりそうな日の作業は、午前10時くらいまで終わりにします。
残った箇所は、午後の天候を見ながら、決めます。できない場合は翌日にします。
処理時期の基準木「グロアール」
「グロアール」は、デラウエアの「ジベレリン処理」と同じ時期に、花を咲かせてくれます。
この花が50パーセント咲いた頃が、「ジベレリン処理」をするのに良いタイミングと言われています。5月15日には約50パーセント開花していました。
なので、デラウエアの「ジベレリン処理」を、5月16日と17日に行いました。
最後に
この「ジベレリン処理」を行っても、種が混入することがあります。そのため、「2度浸け」します。
近隣のぶどう農家でも行っているので、当園もそれに習い「2度浸け」を実施します。せっかく育てたデラウエアに、種が入っていると価値が下がってしまいます。
念には念を入れて、作業に励みます。
コメント